革のなかでもっとも流通量が多く、身近な素材である牛革。
身の回りにある革製品の多くは牛革でできています。
牛革は耐久性があり扱いやすく、加工のバリエーションが豊富な為、靴やバッグ、財布、インテリア用品など様々なシーンで活用されています。
牛の体を包み保護してきたいわゆる”皮”は、鞣し(なめし)という工程を経てしなやかでぬくもりのある”革”になります。
この鞣し方の違いにより全く異なる性質をもった革に仕上がっていきます。
この記事ではレザークラフトのハンドメイド作家の私たちが、代表的な牛革のなめし方や牛革の種類と特徴を分からいやすく解説します。
レザークラフトは、道具をそろえて、基本さえ覚えてしまえば決して難しいことはありません。
レザークラフトにご興味がある方は是非この記事を参考にしてください。
代表的な革の鞣し(なめし)方は3種類
皮の代表的な鞣し方は「タンニンなめし」と「クロームなめし」、そして複数の鞣し剤を利用する「コンビ鞣し」の3種類に分かれます。
上記3つの鞣し方を詳しく説明します。
1)タンニン鞣し(なめし)
レザークラフトの基礎知識
牛革の代表的な鞣し方「タンニン鞣し」
伝統的な植物タンニンで鞣した堅く伸びにくい革です。
重量感と硬さのある仕上がりとなり、使用過程での経年変化を楽しむことができる鞣し方です。
タンニン鞣しは手間も時間もかかる上に、広いスペースが必要なため、国内では数少ない製法となっています。
革に負担をかけず肌目も細かく、芯までタンニンの成分が浸透するため、出来上がった革は収縮が少なく堅牢で使うほどに馴染んで深い色合いに変化していくのが特徴です。
可塑性という特徴を持ち使い込むうちに肌に良くなじんできます。
またこの可塑性は水で湿らせるとより顕著になり、乾燥後はその形状を維持するため作品作りの多くの技法でこの性質が利用されています。
2)クロム鞣し(なめし)
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牛革の代表的な鞣し方「クロム鞣し」
塩基性硫酸クロムで鞣された軽くて柔らかい革です。
クロム鞣しは大きなドラムに薬品と革を入れドラムの回転による遠心力で薬品を革に浸透させます。
一度に100枚程の革を投入できるので大量生産と短納期が可能です。
また、塩基性硫酸クロムはタンニン剤と比べて安価のためコストダウンにもつながります。
高い断熱性と弾性があり非常に丈夫で傷が付きにくい革になります。
その扱いやすさからバッグやジャケット、靴やソファーなど様々な用途に利用されています。
多彩な着色により非常にバラエティーに富んだ風合いに仕上げられています。
3)コンビ鞣し(なめし)
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牛革の代表的な鞣し方「コンビ鞣し」
2種類以上の鞣し材を使用して鞣された革です。
得に、タンニンとクロム鞣しを併用した革は、コシがあり且つ柔らかさがあるなど2種類の特性を併せ持つ独特な風合いを持っています。
牛革の種類と特徴
牛革はバッグ、ベルトや財布などいろいろなところで使用されていますが、牛の月齢や性別によって名称や性質の違いが出てきます。
今回は最もポピュラーな革素材「牛革」については少し詳しく解説します。
カーフ
牛革の種類「カーフ」
表面のキメ細やかさが特徴の高級革
生後6カ月以内の仔牛の革で、乳牛種の牡が大半を占めています。
生後間もないので傷も少なく、表面が滑らかで柔らかいのが特徴です。
特に生後3カ月以内の仔牛の革の「ベビーカーフ」は、さらに厚みが薄く表面もキメ細やかく、高級革製品の材料として使用されます。
キップ
牛革の種類「キップ」
手ごろな高級革
生後6カ月から2年までの牛革を指します。
カーフ同様にケガなどによる傷も少なく、表面のキメが細かく柔らかいのが特徴です。
カーフに比べて、革が厚く強度があるので汎用性も高く、高級革の中でも手ごろな材料とされています。
ステアハイド
牛革の種類「ステアハイド」
最もポピュラーな牛革
生後3カ月から6カ月の間に去勢され、2才以上の牡牛の革です。
比較的厚みが均一で傷が少なく、表面もキメ細いのが特徴です。
最もポピュラーな牛革だで、幅広く革製品に利用されています。
カウハイド
牛革の種類「カウハイド」
柔らかくバランスの取れた牛革
出産を経験した生後2年以上の牝革です。
ステアハイドと比較すると柔らかいのが特徴です。
腹部の革など比較的大きな面の革が取れるので、大型の鞄やジャケットなどに使用されることが多い革です。
ブライドル
牛革の種類「ブライドル」
カウハイドを強化した革
ブライドルは、カウハイドにさらに強度を持たせるために、数か月タンニン鞣しを施してロウをしみこませた革です。
表面に白いロウが浮いているのが特徴で、乗馬用に使用されることも多い牛革です。
ハラコ
牛革の種類「ハラコ」
毛つき牛革
ハラコは、メス牛のお腹の中で死んでしまった子牛や、出生後すぐに死んでしまった子牛の革です。
毛つき革で面積も少ないので、希少価値は高くブランド品などにも使用されています。
革の表裏とは?
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吟面(ぎんめん)と面を床面(とこめん)
革には表面と裏面があります。
鞣された革は滑らかな面を吟面(ぎんめん)、その裏で繊維が毛羽立っている面を床面(とこめん)と呼び裁断した断面をコバと読みます。
吟面(ぎんめん)が革の表側になります。
スエードは吟付き革の床面をあえて起毛させてシルキーに仕上げた革で床面を表として使用する革です。
手縫い・かがりに適した革は?
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手縫い・かがりに適した革
レザークラフトの基本は手縫いです。
上記の通り、革には鞣し方の違いや厚さなで、様々な特徴を持った革になります。
一般的に手縫いを行う場合、ある程度厚みがあり、またはコシのある革のほうが作業しやすく適しています。
薄い革や柔らかい革を使用する場合は、革が引きつらないように力加減やある程度の技術が必要です。
初めてレザークラフトの手縫いに挑戦するなら、少し厚みのあるしっかりした革から始めましょう。
レザークラフトの基礎知識「牛革の種類と特徴」:まとめ
今回は「皮」から「革」に変わる鞣しの種類とその特徴を簡単に説明しました。
基本が分かればレザークラフトは難しくはありません。
楽しく作品が作れるようになれば趣味と実益を兼ねた永く続けられる副業にもなります。
この記事がレザークラフトに興味がある方の参考になれば幸いです。