フリーランスにとって、クライアントからの信頼を維持するために通信セキュリティの確保は重要な課題です。
通信セキュリティを強化して安全にインターネット接続するなら、VPNサービスの利用がおすすめです。
今回の記事では、フリーランスのためのVPNの基礎知識・活用方法・選び方のポイントについてまとめました。
本記事を読めば、VPNの活用方法とあなたのワークスタイルに適したVPNサービスの選び方がわかります。
VPNサービスを導入して通信セキュリティを強化し、クライアントからの信頼を高めましょう。
VPNとは？フリーランスになぜ必要？
VPN（Virtual Private Network）は仮想専用線と訳される、通信セキュリティ向上のための仕組みです。
データの暗号化やトンネリングといった技術で、情報漏えいリスクを最小化してプライバシーを保護します。
専用線とは異なりコストがリーズナブルで、月額で数百円から1,500円程度で利用できるのが特徴です。
フリーランスにとって、クライアントから渡された情報が漏えいすれば信用問題となります。
情報漏えいリスクの最小化や通信内容の盗聴を防げるのが、フリーランスがVPNを利用するメリットです。
また、VPNを利用すれば海外への出張時に地域制限を回避して、日本国内のコンテンツにアクセスできます。
フリーランスのためのVPNの活用方法・ライフハック
フリーランスのためのVPNの活用方法・ライフハックとして、以下の7つを紹介します。
あなたの仕事環境にあわせて、最適なVPNの活用方法を見つけましょう。
公共Wi-Fiの安全利用
VPNは、公共Wi-Fi利用時のセキュリティリスクを軽減する効果的な手段です。
公共Wi-Fiは非常に便利な反面、一部では古い機器を使用しておりセキュリティリスクがある可能性も無視できません。
また、公共Wi-Fiでは「なりすましアクセスポイント」「中間者攻撃」といったリスクもあります。
しかし、VPNを利用すればデータを暗号化して第三者による盗聴から通信を保護し、情報漏えいリスクを最小限に抑えられます。
海外出張時に日本のコンテンツにアクセス
VPNを利用すると、海外から日本のコンテンツにアクセスが可能になります。
海外からのIPアドレスを制限している日本のコンテンツは少なくありません。
たとえば、以下のようなコンテンツが海外のIPアドレスを規制しています。
しかし、VPNで日本のサーバーを経由すれば、日本国内からアクセスしていると見なされて地域制限を回避できます。
そのため、海外出張時でも日本のコンテンツを参照して仕事に活用できるのがVPNのメリットです。
ただし、一部の国ではVPNの利用が制限または禁止されている場合があるため、渡航前に現地の法律を確認しておきましょう。
デバイスのセキュリティ強化
有料VPNサービスは、通常のVPN機能にくわえてマルウェア保護機能を提供しているケースがあります。
悪意のあるWebサイトや不正ファイルのダウンロードをブロックし、デバイスをマルウェアから保護できます。
たとえば、NordVPNの脅威対策機能は、悪意のあるURLのブロックやダウンロード中のファイルスキャンが可能です。
ただし、VPN自体はウイルス対策ソフトではないため、マルウェアを検出したり除去したりする機能は持っていません。
VPNサービスを選ぶときは、VPN以外の付加機能があるかどうかも確認するのがおすすめです。
インターネットセキュリティの向上
VPNはインターネット通信を暗号化し、第三者による盗聴やデータの改ざんを防ぎます。
トンネリング技術を用いてインターネット上に仮想的な専用通路を作成し、盗聴リスクを低減してセキュリティを強化します。
ただし、利用するなら無料VPNではなく、信頼性の高い有料VPNサービスを選びましょう。
Forbes JAPANは、無料VPNアプリの利用によって位置情報・閲覧履歴などの個人情報が漏えいしていると報じました。
ほかにも、オーストラリア連邦科学産業研究機構などによる研究によれば、Google Playで配信されている無料VPNアプリの84%で情報漏えいリスクが確認されたとのことです。
参照：Forbes JAPAN
「若者が利用する「無料VPNアプリ」で個人データが中国に売られる危険性」
参照：ITmedia エンタープライズ
「Google Playで配信されているVPNアプリの84％でデータ漏えい？ その恐るべき理由」
プライバシーの保護
VPNを利用すれば自分のIPアドレスを隠せるため、プライバシーの保護につながります。
IPアドレスからは、地理情報・利用しているインターネットサービスプロバイダ（ISP）・ネットワークの種類などがわかります。
しかし、VPN接続時にはVPNサーバーを経由するため、ユーザーのIPアドレスはアクセス先に知られません。
また、インターネットサービスプロバイダからもユーザーの実際のアクセス先が見えにくくなる仕組みです。
政府検閲の回避
VPNを利用すれば、通信内容を暗号化して政府検閲を回避できます。
また、特定国のコンテンツへのアクセス規制も、異なる国のVPNサーバーを経由すれば避けられるのがVPNの特徴です。
たとえば、中国では政府の厳しいインターネット規制があり、多くのコンテンツへのアクセスが制限されています。
中国で規制されているコンテンツの代表例は、以下のとおりです。
しかし、VPNを利用すれば制限されているコンテンツへアクセスできる可能性があります。
ただし、一部の国ではVPNの利用自体が禁止されている場合もあるため、渡航前に確認が必要です。
フリーランスで海外出張が多いなら、政府検閲やインターネット規制の回避にVPNの活用を検討しましょう。
保有しているデバイスに外出先からアクセス
一部の有料VPNは、保有しているデバイスに外出先からアクセスできる機能を提供しています。
たとえば、NordVPNのメッシュネットワーク機能は、ユーザーのデバイス間に外出先から接続を確立できます。
そのため、外出先から自宅のデバイスにリモートでアクセスでき、重要なファイルの確認や編集が可能です。
また、Windows・macOS・Linux・Android・iOSなど、異なる複数のプラットフォーム間で利用できるのも特徴です。
フリーランス向けのVPNサービスの選び方
フリーランス向けのVPNサービスの選び方は、以下の7つです。
あなたのワークスタイルにあったVPNサービスを選び、よりセキュアなインターネット環境を構築しましょう。
料金が安い
経費をすべて自分でまかなうフリーランスにとって、VPNサービスの料金は大切なポイントです。
有料VPNは長期契約で大幅に割引される場合が多く、月額費用の相場は数百円から1,000円ほどです。
リーズナブルで通信が安定しているVPNサービスもあり、料金が安いからといって必ずしも品質が劣るわけではありません。
ただし、通信速度やサポート体制に不安があるVPNサービスも存在するため、契約前に口コミや評判を確認するのが重要です。
無料VPNはコストがかかりませんが、セキュリティや通信速度に問題のある場合が多いためフリーランスには向きません。
サーバー数・設置国数が多い
海外への出張が多いフリーランスは、サーバー数・設置国数を重視してVPNサービスを選びましょう。
サーバー数が多いと同時に接続するユーザーが分散されるため、混雑せず通信速度が向上する傾向が強いです。
サーバー設置国数が多いとさまざまな国のIPアドレスを利用できるため、地域制限のあるコンテンツにアクセス可能となります。
サーバー数は1,000以上、設置国数は60以上を目安にしてVPNサービスを選ぶのがおすすめです。
通信速度が速い
リモートワークをしているフリーランスにとって、通信速度の速さはもっとも重視したいポイントです。
フリーランスは、クライアントとのコミュニケーションやプロジェクトの進行において、迅速なデータの送受信が求められます。
通信速度が速いVPNを選べば大容量のファイルをスムーズにやりとりでき、業務効率が向上します。
また、ビデオ会議中の音声や映像の遅延や途切れを最小限に抑えられるため、円滑なコミュニケーションが可能です。
高速なVPNサービスを選ぶなら、契約前に口コミや評判を十分に確認しておきましょう。
同時接続台数が多い
複数デバイスを使用するフリーランスは、同時接続台数が多いVPNサービスを選ぶのが重要です。
たとえば、パソコン・スマートTV・スマートフォン・タブレットを保有しているなら、必要な同時接続台数は4台以上となります。
同時接続台数が少ないと、使用デバイスを切り替えるたびに接続を管理する手間が増えるのがデメリットです。
なお、同時接続台数の上限に達していない場合は、家族や友人と契約をシェアするといった利用方法も可能です。
VPN以外の付加機能も考慮して選ぶ
VPNサービスを選ぶときは、VPN以外の付加機能についても検討するのがおすすめです。
さまざまな有料VPNで提供されているVPN以外の付加機能を、以下の表にまとめました。
なお、以下の機能が必ず搭載されているわけではありませんので、契約前にVPN以外の付加機能について確認しましょう。
| 機能名 | 概要 |
| 広告ブロッカー | オンライン広告をブロックしてユーザーのブラウジング体験を向上 |
| マルウェア防御 | マルウェアからデバイスを保護するためのセキュリティ機能 |
| パスワードマネージャー | ユーザーのパスワードを安全に管理するためのツール |
| データブリーチモニタリング（ダークウェブモニタリング） | ユーザーの個人情報が漏えいしていないか監視 |
| クラウドバックアップ | データを安全に保存するためのクラウドストレージサービス |
| 専用IPアドレス | 専用のIPアドレスでより高いセキュリティを実現 |
| 二重VPN | データを2つの異なるサーバーを通じて暗号化し、セキュリティをさらに強化 |
| メッシュネットワーク機能 | 外出先から自宅やオフィスのデバイスに安全にアクセス |
たとえば、ダークウェブモニタリングはNordVPNの特徴的な機能で、ダークウェブの監視と脆弱なアカウントの保護が可能です。
ほかにも、NordVPNはメッシュネットワーク機能・マルウェア防御・広告ブロッカーなど、さまざまな機能を提供しています。
カスタマーサポートの対応がよい
カスタマーサポートの質は、万が一のトラブル時に問題解決までの時間を左右する大きなポイントです。
仕事量がそのまま売上になるフリーランスにとって、トラブルの解決が遅々として進まない状況は大きな問題です。
カスタマーサポートが優秀なら、VPN設定やトラブルシューティングを迅速に行えるため、業務の中断を最小限に抑えられます。
また、カスタマーサポートが24時間365日対応しているなら、トラブルのスピーディーな解決が期待できます。
英語が苦手な人は契約前に、公式サイトやカスタマーサポートが日本語対応しているかどうかも確認しましょう。
信頼性が高い
セキュリティに気をつけるなら、信頼性の高いVPNサービスを選ぶのは必須条件です。
信頼性の高いVPNサービスの特徴は、以下のとおりです。
現在、暗号化技術でもっとも強力とされているのは、アメリカ政府も採用しているAES-256という方式です。
ほかに、ノーログポリシーを掲げているかどうかも重要なポイントです。
ノーログポリシーとは、VPNサーバーにユーザーがアクセスしたログを残さないという方針を指します。
ログを残さないため、ユーザーがどこにアクセスしたのかといった情報が第三者に漏洩するリスクを低減できます。
まとめ：フリーランスはVPNを活用してセキュリティを強化しよう！
VPNはクライアントからの信頼が大切なフリーランスにとって、セキュリティ強化にかかせないツールです。
公共Wi-Fiの安全利用・海外出張時の日本コンテンツアクセスなど、VPNにはさまざまな活用方法があります。
VPNを選ぶときは、料金・サーバー数・通信速度・同時接続台数・付加機能・サポート対応・信頼性を考慮しましょう。
なお、無料VPNはセキュリティリスクが高いため、信頼性の高い有料VPNを選ぶのが重要です。
あなたのワークスタイルに適切なVPNサービスを選び、業務効率化とセキュリティ強化を実現しましょう。
